実は私、大学院のゼミに参加したことがあるんです。といっても別に頭が良かったから飛び級したとかそういう話ではなく、ただ単に個人的な教授との繋がりで2,3回お邪魔させてもらっただけなんですけどね。。。
大学2年生の時、私はアグリビジネス(農業ビジネス)について研究していました。ちょうど当時、経済学部の友人に誘われて日銀グランプリというビジコンに参加することになっていて、その際に「アグリビジネスを通した地方創生」というテーマに論文を書いてたんです。そこで一度大学教授に内容を精査してもらおうということになって、「慶應 農業 教授」の検索ワードに引っかかった教授に直接アポイントメントを取ることにしました(慶應のシステムデザインマネジメント,通称SDMには農業を研究している学科がありました)。
ただ教授の方も見ず知らずの学生の論文をそう簡単に推薦するわけにはいかず(当然!)、何度かメールを通したやりとりを繰り返した上でようやく協力を得られることになりました。残念ながら、日銀グランプリは決勝まで進むことはできなかったのですが、その後も先生と自分とのMessengerを通した個人的なやりとりは続いていて、グランプリの報告をかねて1人でゼミの公開授業に参加することになったんです。
大学の周年事業として竣工された協生館
同じキャンパスに通ってる人ならわかると思うんですけど、日吉キャンパスには協生館という半ショッピングセンター兼大学院用の建物があります。なかなか学部生は3階以上に上がる機会はないと思うんですが、上の階は大学院の建物となっていてビジネススクールだったり宿泊施設なんかも付属してるんです。
公開講義当日は三田で授業があったので終わり次第すぐに日吉キャンパスに向かい、大学内のタリーズコーヒーで始まるまでの時間を潰しました。教授とお話がしたかったので早めに教室に向かったのですが、すでに20名ほど聴講者がいらっしゃっててとても話しかける雰囲気にはありませんでした。参加者のほとんどが40代から50代くらいの方で、話してる内容を聞く限り東京の大学で農業研究に従事してる方が多かった印象です。
画質は悪いですが当時の写真です。この中のどこかに僕がいます笑
講義の内容は北海道を中心としたアグリビジネスに関する話と農業を基盤としたベンチャーについてで、最後の質疑応答含めてだいたい1時間くらいでした。学部とは違って流石に大学院ともなると質疑応答も結構盛り上がります。北海道を独立国みたいな形で完全に自給自足するにはどうすればいいかみたいな議論も出てて、門外漢の立場でしたけどすごい興味深かった印象が残ってます。
講義が終わった後はすぐに先生にお礼をしに行きました。実はそれまで全てMessengerのやりとりだったんで、お会いするのはその時が初めてだったんです。教授はすごい気さくな方で、その時はあまりお話しする時間はなかったんですけど、翌月には内々のゼミがあるからそっちにもおいでよと声をかけて頂きました。(因みにその教授は女子アナから大学院で勉強し直して、教授にまで上り詰めた異色の経歴)。
後日、今度はゼミに参加するために改めて日吉キャンパスの協生館に向かいました。公開授業の時はまだone of themですのでそこまで緊張しませんでしたが、ゼミとなると初顔としてゼミのメンバーと交わるわけで少し緊張もしました。ただ実際に行ってみると、教室には教授と准教授、JAの方と千葉商科大学の講師がいるだけで、雰囲気も和気藹々とした小規模なものでした。
みなさん農業についての思い入れが強くて、アグリビジネスについて研究していたと言うとみなさん興味津々でお話を聞いてくださりました。「何かアイデアは考えついても、それは誰かがやっていて新鮮さを見出すことができなかった」というビジコンに参加するに当たって最も困難だったことを話すと、千葉商科大学の先生が「その事実は研究でも何をやっていてもぶつかるもの。そこに気づけた上でどの部分で差別化が測れるかを考えるところからがスタート」だと教えてくださりました。ついでにアイデアがあるなら何かをそれを表現するツールを自分で持たなければいけないということもおっしゃってて、例えばSDMなんかだと絵を描く授業だったり、デザインを学ぶ過程もあるそうです。帰る際はJAの方とご一緒したのですが、ポズドク問題の深刻さについてお話ししてくれました。(別に大学院行くつもりは当時からなかったんですけど。)
今こうしたコロナ禍で人との繋がりが失われてる中で振り返ってみると、このような経験は非常に貴重だったなと思います。当時お世話になったSDMの教授にはものすごい感謝してますし、授業のオンライン化が進む中ではこうした偶発的な人の繋がりだったり、教師と生徒という垣根を超えた繋がりは確保できません。とりあえず行動してみること、そして努力を傾注すべき方向性について大人からアドバイスをもらうことは視野が狭くなりがちな学生にとっては重要なことだと思いますし、過信しがちな性格にも良い意味でストッパーがかかります。大学生活は学問だけでなく人とのつながりを築く期間でもあります。こうした機会を増やすためにも一刻も早く大学には通常通りの授業を再開してほしいと思います。