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文系でも応用情報技術者試験の午後は理系分野を選択すべき理由

 

応用情報の合否の鍵を握るのが午後分野の選択です。

午後の分野は大きく分けて、理系要素の強い『テクノロジ』、国語問題の『ストラテジ』、両者の中間に位置する『マネジメント』の三つに分かれます。応用情報技術者試験では、基本情報技術者試験と異なり必ずしもアルゴリズムなどを選択する必要がないので、全く数学知識がなくても合格が可能です。

実際、文系出身者は『ストラテジ』と『マネジメント』の二つを中心に、理系出身者は『テクノロジ』を中心に戦略を立てることが推奨されており、幅広い受験者に対応した試験となっています。基本情報技術者試験よりも合格が簡単と言われることもありますが、完全な文系人間にとっては応用情報技術者試験の方が取り組みやすいというのは事実だと思います。

しかしながら完全な文系出身者でも、文系問題だけで受験することにはある程度リスクがあります。

 

1 文系問題を避けるべき二つの理由

まず『ストラテジ』や『マネジメント』といった国語問題は年度によって難易度の振れ幅が非常に大きく、安定的に満点を取ることが難しくなっていることが挙げられます。他方、一般的に理系問題と言われている『テクノロジ』問題でも数学的知識はほとんど問われず、午前程度の知識があれば簡単に満点を取れる場合もあるため、鼻から理系問題を避けて通るのはあまり賢い方法だとはいえません。

またこれはしばしば見落とされがちでありますが、午後分野の試験勉強において午前との親和性というのは非常に重要な問題です。理系問題は問われる知識があまり多くなく、午前問題程度の知識力で十分だと思われます。他方、国語系問題は教本や情報処理試験の内容を逸脱した問題も少なくなく、その点午前の学習と午後の学習内容に被りが大きい方が点数が伸びやすいです。

 

2 分野別難易度

文系でも解きやすいテクノロジ系

組み込みシステム:

数学的要素が出てくる年もありますが、それでも簡単なことがほとんどです。題材も充電器や補聴器、スマホ関連グッズなど身近なものが多く、取り組みやすいものとなっています。初めから受けるつもりはなくても、実試験の時には一応目を通しておくと意外と簡単だったりするのでおすすめです。

システムアーキテクチャ:

数学的要素は多いですが、比較的文系でも取り組みやすいとは言われています。しかしながら、バイトやビット演算、表の読み取りなどが出てくるのでそもそもここに苦手意識がある人は避けるのが無難です。出題パターンが安定しており、普段からITに触れてる人は受けるべきだと思いますが、難易度の振れ幅は理系問題の中では大きい方です。

ネットワーク:

こちらも単純な計算は求められますが、知識が増えれば増えるほど単純に点が伸び安くなっており、午前との親和性も非常に高いです。ただN進数やネットワーク構成の読み取りをしなければいけないので、同じくここに完全な苦手意識がある人は避けることが無難です。

ポイント

これら三つは比較的出題パターンが一致しており、この手のタイプの問題を得意にすると午後試験対策はかなり楽になります。確かに難易度の振れ幅はあるのものの、満点を取ることもそこまで難しくなく、他の問題で大きく外したとしても受かる可能性が高まります。午前との親和性も比較的高く、初めから文系受験者と決めていても食わず嫌いするのはもったいないといえるでしょう。

 

文系はまず避けるべきテクノロジ系

プログラミング:

間違っても応用情報技術者試験のために勉強する科目ではありません。圧倒的に経験者が有利となっており、アルゴリズムやプログラミング言語の構造は数ヶ月程度で理解できるものではないので、経験者でなければまず避けるべき分野です。

データベース:

こちらも圧倒的に経験者が有利なものとなっており、SQLという独特な言語も出てくるので、生半可な気持ちで選んではいけません。ただプログラミングほど初学者が選んではいけないかと言われればそうではなく、SQLの学習にしっかり時間を割けるのならば受けても良いと思われます。SQLとER図の構造はかなり独特とはいえ、出題パターンは比較的安定しています。

ポイント

この二つは数学的思考というのがある程度要求され、アルゴリズムなど独特な思考方法の獲得が重要になってきます。そもそもプログラミングが激しく適正の分かれる分野でもあるので、これまで触れてこなかった人は間違っても選んではいけない分野と言えるでしょう。特定のプログラミング言語が出されるわけではなく、おそらくCをベースにしたであろう擬似言語が出題されます。

 

文系問題

ストラテジ:

文系受験者ならまず受験を考える分野でしょう。完全に国語の問題となることも多く、前提知識が一切必要ないことも少なくありません。ただ前述の通り、振れ幅が少なくないとは言いがたく、貸借対照表やキャッシュフロー計算表の詳しい理解が求められることもあります。ただ簿記2級以上を持ってれば、たとえ難化したとしても対応できることは多いでしょう。

監査:

文系問題の中では比較的、出題パターンが一致しています。覚える内容もほとんどないに等しく、ストラテジと同様に完全に国語の問題になりがちです。長文を読むのが大変だという人は避けるですが、確実に答えが問題文の中に入ってると考えると難易度は午後分野の中でも最も低い部類に入ると思われます。もちろんですがシステム監査と会計監査は別物です。

サービスマネジメント:

経験者有利問題です。ITLという書類を読み込めば大きく外すことはないですが、そこまで時間の余裕がある人は少いはずなので、実際に問題の難易度を見て決める必要があるでしょう。

プロジェクトマネジメント:

こちらも経験者有利問題です。文系問題の中では比較的計算量が多いと言われますがそこまで恐れる必要がないでしょう。プロジェクト管理に携わったりリーダーを務めたことがある人にとっては有利ですが、学生などにとってはやや不利だと思われます。サービスマネジメントと同様にPMBOKと呼ばれるものを読み込んでおくと楽になると言われています。

ポイント

以上が文系問題です。やはりテクノロジ系よりも運要素が絡み、過去問では安定して合格点を超えてたけど本番の試験で失敗したということも十分あり得ます。完全な国語の問題となることも少なくないので、文章を読んでいておかしいと指摘できる常識的な判断力と勘を養うことも重要だと思われます。ただ知らなかったら解けない問題でもあるので諦めも肝要です。

 

そのほか:

情報システム開発:

なかなかクセがあり、勉強開始段階でオブジェクティブ指向やUMLについて全くの知識がない状態なら避けるのが無難です。ただこれまでシステム設計経験者やプログラミングをやったことがある人は割と優位になっており、文章を図やグラフに落とし込む想像力があると強いともいえます。

セキュリティ:

午後問題で唯一全員が受けなければいけない必須問題です。セキュリティだけが必須になるということはそれだけセキュリティ対策が昨今のITを取り巻く情勢の中で重要だということでもあります。ただ難易度も比較的安定していて、基本的な攻撃手法の名称と、暗号化方式について頭に入れておけば大きく外すことはないでしょう。IPAのHPで最新の攻撃手法をチェックしておくと良いかもしれません。

 

3 午後分野勉強のコツ

テクノロジなど理系寄りの問題はあくまで長文問題から解答まで導出パターンを抑えることにあります。知識面においては午前問題以上のものが求められることは少なく、過去問演習をどれだけやったか鍵になると思われます。理系出身者で数学的素養があるなら、テクノロジ分野で固めれば比較的簡単に合格ラインは超えると思われます。特にプログラミングやデータベースを扱ったことがある人はこの2分野は必須で選択すべきでしょう。

他方、文系問題は午前問題から飛躍して難しいことが問われることも少なくないです。過去問演習をしつつ、知識も同時に増やしていくことが鍵になります。文系にとっては基本情報より応用情報の方が簡単だとは言われますが、やはり理系受験者の方が安定して点は取れるような仕組みになっています。

よく言われているのは2分野多めに選択して勉強し、本番の試験問題の難易度を見て得意なものを選ぶという手法です。必ずしも2分野である必要はないと思いますが、少なくとも1分野は多めに勉強するべきだと思います。文系問題は難易度の振れ幅が小さくなく、簡単だと言われている組み込みシステムで非常に難易度の高い問題が出されることもあります。

ただ前年と比べて非常に難易度が上昇した場合は得点調整が入る可能性が高く、仮に全く解けなくとも悲観する必要はないです。全体でバランスよく6割を超えることが重要なので、そのためにも7分野くらい抑えるのは確かにベストプラクティスだといえるでしょう。

 

4 おすすめの書籍

キタミ式イラストIT塾応用情報技術者

基本情報でもお馴染みの参考書ではありますが、内容は基本的な部分にしか触れられていません。午前合格ラインの6割はなんとか超えるでしょうが、これだけで対策万全かと言われるとだいぶ不安が残ります。余裕があれば、下記の合格教本で本で対策を積むべきでしょう。

応用情報技術者合格者教本

おそらく対策本としては一番有名な書籍です。800ページ弱とだいぶ分厚いものとなっていますが、知識面では十分といえます。ただ不要な要素もだいぶ盛り込まれてるほか、午前で必須で出てくる計算問題の解説が疎いなど弱点はあり、午前試験の過去問と併用して活用するのがベストプラクティスです。緩急をつけて読み込むことが大切で、過去問8回分で出てこなかった単元は学習する必要はないです。午後で解く問題は余白に書かれてる備考欄まで要学習です。

過去問道場

午前対策においてこれを使用しない選択肢は現状ないと思われます。ポケット問題集のような形で書籍も出てはいますが、計算問題のみの絞り込みや苦手分野の把握、カテゴリごとの出題など使い勝手は群を抜いて良好です。午前は過去問題の流用が多いため、8回分程度解いておくと安心と言われています。

午後問題の重点対策

午後対策はこれ一冊で十分と言えます。午後問題の対策法はあくまで問題から解答までの導出パターンに慣れることだと前述しましたが、こと理系問題に限ると特別午前に比べて飛躍的にたくさんの知識量が必要とされるわけではありません。文系受験を考えてる人は、午後の問題も解いてみてから教本を改めて読むとより一層の効果を期待できます。

 

5 合格率2割のカラクリ

一部では有名なことですが、情報処理系の試験は受験率が非常に低いです。また、勉強をしないで試験に臨む人も少なくなく、こちらが合格率の低さに直結していると思われます。基本情報を受かった人2割のうちのさらに2割という表現は正しいと思いますが、自身の体験を振り返ってみると難易度が飛躍的に上昇したとは良い難く、やはりマークから記述になったことが最も大きな変更点だと思われます。(因みに筆者は基本情報は受けてません)

これは応用情報技術者に限った話ではないですが、試験を受けるにあたってはもちろん自信を持つことも重要で、午前はまだしも午後問題は結構その日のコンディションに左右されがちです。150分休みなしの試験なので、序盤に焦ってペースを取り乱すと後半挽回というのが難しくなってきます。リラックスしつつも適度な緊張感を持って臨むためには、本番の試験と同じ時間配分で一度でも解いておくことをおすすめします。150分は確保できなくとも、少なくとも一問にかける目安の時間は体内時間として持っておくとそれだけで有利になると思います。(午前は時間配分を気にする必要はまずないです。ほとんどが途中退出します。)

 

6 最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。『文系出身者も理系問題を取り入れるべき』という最初の主題からはややずれましたが、それでも多くの受験者にとって参考になる部分があればいいなと考えています。自分自身の経験を振り返って応用情報技術者試験の勉強過程で得られたものは大きかったです。

ぜひ皆さんも他のブログも参考にして応用情報技術者試験を目指してみてください。

  • 自己紹介

Yutaro

慶應義塾大学文学部4年 /TOEIC960 / Python歴2年(独学)、PHP,Javascript歴5ヶ月(業務)/ 応用情報技術者 /(⬇︎ホームリンク)

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