ども!中学生の時からディズニーが好きで、大学でもディズニーをやりたくて英米文学科に来たユータローです。
ちょうど今卒論でディズニーを書いてるのですが、そういえばディズニーについてブログを書いたことがないなと思い、今日は「英米文学」×「ディズニーシー」について綴っていこうかなと思います。東京ディズニーシーはランドの18年後にオープンしたわけですが、信じられないほど緻密にバッググラウンドストーリーが作り込まれ、そのテーマも英米文学の影響を強く受けています。
そこで題して「英米文学を知ればもっと楽しくなる!ディズニーシーのバックグラウンドツアー」をやっていきます。
バッググラウンドストーリーといえばたくさんあるんですが、今回は英米文学に絞っていきましょう。
メディテレーニアンハーバー基本情報
まずはメディテレーアンハーバーというエリア。最初に踏み入るテーマポートがこちらになります。名前のまま地中海を意味しますが、エリアはイタリア北西部の街をモチーフにしたポルト・パラディーゾ、ベネチアをモチーフにしたパラッツォ・カナル、大航海時代のイベリア半島の要塞をモチーフにしたエクスプローラーズ・ランディングの三つに分かれます。
公式などではイタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなどの南ヨーロッパを舞台にしてるとのことですが、建物名を見るとラテン語もしくはイタリア語がほとんどなのでイタリアがメインでしょう。
地名で言えばピアッツァトポリーノは「ミッキー広場」、他にも通りの名称になってる「PASSAGGIO MINNI」はミニー通りですし、「VIAPAPERINO」はドナルド通り、「CALLEPIPPO」はグーフィー通り、池に浮いてる小舟に書かれてる「QUI、QUA、QUO」はイタリア語で「ヒューイ、デューイ、ルーイ」という意味です。
それでは公式の発表に沿って、この辺りのバッググラウンドストーリーを見ていきましょう。
バックグラウンドストーリー
まずこのハーバーを囲い込む土地は、もともとはザンビーニブラザーズ(イタリア系)という大地主の土地ということでした。やがてこのザンビーニブラザーズはS.E.Aという探検家団体と交流を持つようになります。
S.E.Aという探検家団体
このS.E.Aというのはエクスプローラーズ・ランディング(フォートレスと呼ばれるアトラクションにもなってる)を拠点にする探検家団体で、メンバーにはタワー・オブ・テラーのハイタワー3世やソアリンを建設したカメリアファルコ(初の女性会員)などがおり、ディズニーシーのバックグラウンドストーリーでも中心的な組織になります。
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なおこのS.E.Aは東京ディズニーシーで最初に登場した設定ですが、世界にも存在しており、香港ディズニーにあるミスティック卿や、アメリカのジャングルクルーズを運営している会社もS.E.Aということにされています。(フロリダに行くと、コンチュウノスケという日本人らしきメンバー名が確認できます。)
ちなみにエクスプローラーズ・ランディングにあるディズニーシー随一の高級レストラン・マゼランズも元はS.E.Aのためのレストランということになっています。S.E.A会員がこっそり会談するための場所を提供していたとのことですが、実は厳重な隠し扉に隠された特別な部屋もあり、運がよかったらゲストもその部屋に案内されるかも知れません。(バースデーシールを貼るなど)
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また余談ですが、エクスプローラーズでところどころに飾られる旗。これは国際信号旗ですが、置き換えるとMICKEYになります。(変わった形の隠れミッキーでもあります)
プロメテウス火山について
そして背後にあるプロメテウス火山の名前はギリシャ神話の「火の神」に由来しています。プロメテウス火山は名前の由来通り、おおよそ1時間に1回噴火しますが、このエクスプローラーズにいれば熱い風を感じることができます。
ちなみにプロメテウス火山は学者が「プロメテウス火山の精巧さは専門家が泣いて喜ぶ域」とされるほど精巧に作り込まれています。学者によると、どうやらモデルとされてるイタリアのヴェスビオ山よりも、ハワイで見られる火山に近いようですね。
こちらに学術的な検証があります。
メディテレーニアンハーバーから見ると立派なプロメテウス火山ですが、エリアによって見え方が違うのも特徴で、ポートディスカバリーでは科学が自然を征服したというテーマに沿って死火山に見える一方、ロストリバーデルタでは先端が少し見えるのみで、奥地に彷徨い込んだことを印象付けられます。
中でもミステリアスアイランドがおそらく一番プロメテウス火山の活力を感じれるところだと思いますが、興味深いことにここでは唯一、トイレの表記がLavatoriesという聞き慣れない単語になっています。これはおそらくプロメテウス火山の溶岩(Lava)を彷彿とさせるように企図しているのでしょうが、英検一級レベルの単語をこうした表記に用いるとは流石にディズニーシャレ過ぎてますw。
ザンビーニブラザーズリトランテ
話を戻して、
そしてこのS.E.Aはいわゆる秘密結社な訳ですが、S.E.Aの会員が多くこの辺りにやってくるにあたって、大地主であったザンビーニは彼らのためにレストランを開いたことになっています。これが今ある「ザンビーニブラザーズリストランテ」というレストランの由来です。元々はワイナリーのため、レストランの内装なんかを見ると、ワイナリーの面影を感じることができます(もちろんワインも販売してます)
https://www.tokyodisneyresort.jp/tds/restaurant/detail/403/
ディズニーの中でも比較的リーズナブルで、席数も多いためメジャーなレストランです。夜のハーバーショーが終わった後に裏庭に出ると、(風など天候条件が合えば)花火後のうっすらと霧のようなものに包まれて、それがまた幻想的です。
ちなみにラテン語さんによると
レジ奥の瓶にIN VINO VERITAS「ワインの中に真実がある」と描かれています。これは、酒に酔ったら人は本当のことを喋ってしまうものだ、と解釈されています。同じフレーズはフロリダディズニーのMama Melrose's Ristorante Italianoにもあります。ちなみにアリエルのプレイグラウンドにある鐘に書かれたIN AQUA VERITAS「水の中に真実がある」は、このフレーズをもじったものです。
だそうです。芸が細かいですね。
ホテルミラコスタ
またこのザンビーニブラザースはさらにレストランの開業に次いで、S.E.Aの宿泊施設のためにミラコスタを開業させたということになっています。公式ホテルのミラコスタは実はS.E.A関係者のための施設だったんですね。公式でも当時はミラコスタの宿泊者はほとんどがS.E.A関係者だったと発表されてます。
ちなみにホテルミラコスタの外観をよくみてみるといくつかは実際の窓ではなく絵の窓になっています。でもこれは手抜きなんかではなく、トロンプ・ルイユと言うイタリアの騙し絵技法です。イタリアでは窓税と言って、窓の数が多ければ多いほど、税金が課されたため、こうして絵でごかますということがよくあったそうです。ちなみにキャスト談ですが実際にイタリアから職人を呼んで書かせてるそうです。
また時代に伴って増築されたという設定のため、ミラコスタの外観は、ザンビーニリストランテのある左手から、右手にかけてミラコスタの綺麗に豪華になっていくんです。(上記の画像だと少しわかりにくいですが)
ショップに見られる英文学の影響
そのミラコスタの下には、閉園間際にみんなが立ち寄ることでお馴染み、お土産ショップが連なっています。中でもクッキーなどを買えるマーチャント・オブ・ヴェニス・コンフェクションはシェイクスピアの喜劇「ベニスの商人」に因んでおり、ヴィラ・ドナルド・ホームショップにあるドナルド・デイジーの肖像画のAMOR VINCIT OMNIA"という言葉はチョサーのカンタベリー物語の言葉です。
また同じくお土産ショップのフィガロズ・クロージアーは同じエリアにジミニークリケット通りがあるのでピノキオの猫フィガロに由来してるかと思っていましたが、実際はオペラ『セビリアの理髪師』の主人公フィガロに因んでいるようですね。店内のミッキーミニーの装飾を見るとオペラをモチーフにしてることがわかります。
まとめ
このようにメディテレーニアンハーバーは、英米文学の影響を受けながら、S.E.A、ザンビーニブラザーズを中心として、包み込むように一つの大きな物語を形成しているのです。
次回はこのエリアと連続性のあるアメリカンウォーターフロント編をやります。大地主FRATELLI ZAMBINIの名前がこちらのエリアでも見られるため、このザンビーニブラザーズの影響力が窺い知れますが、徐々にラテン語や英文学ではなく米文学の影響を受けるようになってきます。果たしてそこにはどんなバックグラウンドストーリーがあるのでしょう。。
それではまた次回!
参考文献:
https://ja.wikipedia.org/wiki/S.E.A.
https://castel.jp/p/4408